花火~散る記憶~
……………
「いったー…っ」
あっくん…相当思いっきり殴ったんだろうな。
私の為って言うのは、すごくありがたいんだけど、ちょっとやり過ぎかな…。
「理由分かんないけど、ちゃんと消毒してよっ」
「……ごめん。あれ、ただの八つ当たり。本当ごめん」
安堂くんには、何の八つ当たりかは聞きたかったけど、何かあると思って やめといた。
きっと私の知らない安堂くんの顔があって、思い悩み 苦しんでるのかもしれない。
「繭…」
あれ?この声―――――…
どこかで聞いたことある。
「変な意味じゃないから、ギュッとしていい?」
私はまた同じ過ちを犯している。
分かってる。でも体は止まらない。
これは、友達が苦しんでいるから。
なんて 都合よく言い訳してる。
「うん…」
…やっぱり。あっくんとは違う。
力強くて温かくて…安心する。
「安堂くん、大丈夫だよ。大丈夫」
何が大丈夫何だろう。
意味もないままずっと言い続けた。