花火~散る記憶~



キキィ…







あ、誰か入ってくる。

…だいたい想像はついてる。





「繭!」

「安堂くん…」






なんでそんなに優しくするの?
せっかく諦めたかったのに…

どんどん難しくなる。





「何があったんだよっ」





「あー…ははっ!真莉香と仲直りしたんだー!それで嬉しくて~泣けてきたの!」







「嘘だ」







え?







「お前、嘘ついてるだろ。俺には分かるんだよ。俺に嘘つくとか 100年早いんだわ!」




やめて。分かんないで。

私の気持ちなんて分からないで。





「その笑顔 嘘をつく時の笑顔だ。
…俺じゃダメなのか?お前の気持ちを少しでも和らげたいんだよ」









私は安堂に抱きしめられている。

あぁ…
安堂くんの抱きしめ方って力強くて温かくて…安心する。


前に抱きしめられた時もこう思ったな…






「安堂くーん……っ」



ずっと泣いていた。
私が泣き止むまで、多分安堂はずっとこのままだと思う。



それが単に嬉しかった。





「繭。俺 お前が好きなんだ」







……



夢みたい。

ってか夢見てるのかな。









え?急に言われても…



嬉しいっ





…でも、私さっき決めたばっかりじゃん。
私には、責任があるんだ。



皆と仲良くたい。






「ごめん」









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