花火~散る記憶~
「な、何!?」
飛び起きたら、目の前には安堂くんがいた。
「あ…えっとー。大丈夫?」
「な、なんなの、あの夢。あの人は誰?私を呼んでたのは…誰?」
安堂くんは、ぽかーんと口を開けて聞いている。でも私の口は止まらない。
「“お兄ちゃん”って人が血だらけで死んだ…。私も死ねたらって思ってたの。でも頭がすっごく痛くて…。そんな私を誰かが大声で呼んでいて…」
これは何?
私…知ってるっぽいんだよね
いつなんだろう。
私の知らない。ワケわかんない。
また夢と同じように、頭の奥が痛くなる。
「巧弥…?え?何?」
巧弥…。安堂くんの名前…
なぜかその名前が脳内を過った。
「繭!?大丈夫か!?
…お前もしかして――」
もしかして?どういうこと?
私――――何?
私って何?誰?