花火~散る記憶~
ゴトンゴトン――ゴトンゴトン――
「え…」
「……」
いったい――あの瞬間に何が起きたんだろう…
瞬時だったから、よくわからないけど
今この状況は…
「えっとー…なんで安堂くんがいるのですか?」
「あはははっ!なんで敬語っ」
いやいやいやいやいや、笑い事じゃないんですけど
この状況はヤバイのでは…?
「えっとー…ん?え?ま、済んじゃったことなので、一応さ、座ろっ」
「繭 冷静だねー」
ううん!全然!
もーっ、誰のせいでこんなテンパってると思ってるのよー!
「安堂くん、何で真梨香と乗らなかったの?」
「俺に告白する気だろ?バレバレだっての。しかも俺乗るとは言ったけど、辻と乗るとは言ってないけどな」
ごもっともでが…なんでそこで私と一緒に乗るのよ!真梨香に…どう言えばいいのかやら
「俺、まだ全然繭のこと好きだから」
え―――…
ヤバッ…泣けそう
あぁーもう!
ゴンドラまだ全然下の方だし!早く回ってよー!
早く回ってくれないと、私おかしくなるから…
「そ、それは…私あっくんいるし…」
「それでも俺諦められないんだよね。
ごめん、こんなねちっこい男で。でも繭を想っている男がいるってのは、知っといて」
なんでそこまでしてくれるの?
私嬉しすぎて今すぐにでも、安堂くんに想いを伝えたい。
もうどうすれば――――…
「…あっ」
うぅ!なんで涙が出てくるのよ!
ずっと我慢してたのにー。
「ごめん、今ギュッてしてやりてーけど次のゴンドラからすっごい視きて来てるので…」