花火~散る記憶~
お店を出て、また喋りながらゆっくりと歩きだした。
ふいに3階建ての建物が目に入った。
どうやら…進学塾っぽい
元旦なのに、中からはぞくぞくと受験生らしい人がたくさん出てくる。
もう冬だから受験モード全開か…。
私なんて、要領悪いから 本当ギリギリまで高校が決まらずにいて、ギリギリで勉強を始めたなぁーって思ったら…
『ドンッ!』
振り返ったら、何もなかった。
「あ、あっくん…。さっき大きな音しなかった?ドンッ!って…」
あっくんと真梨香が不思議そうな顔をして、「してないよ」っと口を揃えた。
空耳……かな。
最近勉強とか遊びとかで 寝不足だったからかな。
早く寝ないとね。
『キャーー!』
な、なに!?
また振り返っても、何もない。
だんだん気持ち悪くなってきた。
さっきまで温かかった手も、いっきに冷たくなった。
手や口の震えが止まらない……っ
「うぅ!あ…頭が……!」
またあと頭痛に襲われる。
目の回りがボヤける中…
「繭!!しっかりしろ!!」
安堂くんの声が聞こえてきた。