花火~散る記憶~
その声で、我に返ったが まだ頭痛は治まることはなかった。むしろどんどんひどくなる一方。
少し息切れもしてきた。
近くにベンチがあったから、座った。
道行く人に 変な目で見られたけど、そんなのは全然 気にしなかった。
「はぁ…はぁ……うっ!」
「繭、しっかりしろ!!何があったんだ。…まずゆっくりと息を吸え」
安堂くんの指示で、ゆっくりと息を吸った。
『お兄ちゃーんっ♪』
『あ、おいっ!繭―――…』
脳内がぐちゃくちゃに混乱していた。
ゆっくりと静かに、記憶が流れ 映像もでてきた。
どこかとても懐かしくて、とても切ない気持ちになった。
『キキィ―――ッ』
『うわぁー!ひ…人が!人がひかれたぞ!2人だ!男女1人ずつだ!救急車呼べ!』
なに……
私――――…!?
私がいる。私が泣いてる。
そして私の隣にいるのは誰?
『お兄ちゃん!死なないでよ!1人にしないでよ!』
『繭だけでも助かればそれでいい。俺は…っぅ……それで…いい』
私のお兄ちゃん?
病死じゃないの?血まみれじゃない!
車の事故?