花火~散る記憶~







『やた…やだやだやだ!
…うぅ!!頭が痛い!』



『ま……ゅ――――――…』







え?

もしかして死んだの?
救急車は?まだなの?

なんで早く来てくれないの!?




……あれ?私がさっき見た3階建ての建て物だ。

あれって進学塾…だよね?





そこから誰かが私のところにすごい勢いで走ってきた。
男の子だ。中学3年生ぐらいかな…


『繭!!しっかりしろよ!!!』





この声は――――誰?
私、この声知ってるような…


すごく懐かしい。私ずっとあなたに会いたかったのかもしれない






『た……く…っ』





ん?“たく”っ言う人?
私、たくって言う人とずっと会いたかったの?



『繭!!もうすぐ救急車来るから、ちゃんとしっかりしろよ!!!』



















―――――――…







頭の中に一気に色んなことが流れた。
あれは…いったい………






『…』


『俺だよ。安堂巧弥。分かる?』




『誰』






あ、この人…安堂くんだ

――…あれ?急に胸が締め付けられる。
















―――――――――分かった…







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