花火~散る記憶~
――!!
目を開けたら、病院だった。
周りは、お母さんがいた。
「ま、繭!先生!繭が起きました!」
なにがなんだか…訳がわからない。
でも私はとても大切なことを思い出した。
「お母さん…巧弥くんは?」
お母さんは驚きを、隠せていない。
…やっぱりね
やっぱりそうなんだ。そう…っ
「なんで言ってくれなかったの!?」
私―――なんでこんなにも大好きで大好きで仕方ない人を忘れることができたのだろう…
“安堂巧弥”
私の大好きな人。
今も。そしてずっと昔も…
「繭が、悲しむと思ったのよ。ごめんなさい…」
泣き崩れるお母さんに、私はなにもしてあげられない。
昔――――ずっと昔のこと。
巧弥くんは、私の幼なじみだった。
家が隣にあって、毎日ずっと遊んでいた。
そんな巧弥くんに、恋心を抱いたのは 小学4年生の時だった。
私は巧弥に告白した。そしたらまさかの巧弥くんも私のことが好きだったらしい。
…そのまま中学校へ上がり、付き合うかたちになった。
初キスは当然巧弥くん。
私はとても幸せだった。
ただ――――あの日まではの話だけど。