ZAKURAN
自分から「食堂に来い」とか言っといて、遅刻?
いや、単に授業が長引いてるだけかも…
なんて考えているときだった。
「わわっ!睦月、来たよ!」
夏香が突然、あわてたように言ったのと同時に、
「「キャーーーーーーーーーーー!!」」
大げさにも響き渡る、うるさいくらいの女子の悲鳴。
まるで芸能人でも現れたかのような…
そっと上げた視線の先には…
「…っ」
今朝も見た、九条先輩の姿。
ん?あれ
ふとあることに気づく。
先輩、ひとりじゃない。
九条先輩の横に、もう一人男の人が立っている。
表情は優しそうなものの、髪の色は明るく、ピアスの数もハンパない。
なんだか…裏がありそうな人。
「あの九条先輩の横にいる人だれ?友達かな?」
「え、睦月知らないの?」
こっそり夏香に聞いてみると、驚いたようにこちらを振り返る。