あんたの隣はあたしだから


『二人きり』


その言葉を意識せず、柚希の部屋へ
入った。



「柚希ぃー?」


入ると、いつもどおりの

シンプルな部屋が広がる。



「んー?」



と、毛布でくるまれている柚希を見た。



小動物か(笑)




「見舞いにきてやった!」




「ひゅぅがぁ?」


ちっさい声で俺を呼ぶ。



「おいっ起きろよー」



「ほーい」



毛布から顔を出した。



長い髪の毛は、さらさらになっている。



ボサボサじゃないやん(笑)



「ひゅぅがどぉしたん?」



「見舞いって言っただろ!」



「そっかぁ。あんがと」




柚希は、パジャマ姿で俺を見つめた。



俺は、真っ赤になってその場にいられなくなり


「なんか飲みもん持ってくる!」


と立ち上がった。



「ぁ!ひゅぅが」




「なんや?」


「…ここにぉってょ……」




うわ…………なんつー破壊力。



力全然入ってないのに、

俺の裾を掴む。



「わかった。わかったから柚希。

わかったから!な?な?わかったから」


もう壊れるっつーの!



「裾はなしてください。柚希さん」 


「分かりました。ひゅぅがさん」



そう言うと、柚希は、裾をはなした。



俺は、柚希の顔の近くに座った。




幼なじみやのに……………



いや、違うか。



「ひゅぅがぁ」



「ん?」



何言うかわからなかったから

普通にいたけど、柚希の言うことは、 
意外なことだった。



「ひゅぅがさー。真由さんのこと好きなの?」



オレのほうに顔を向かずに言った。



は?何言ってるんだい?柚希は。



「あたし、ひゅぅがが、あんな可愛い人にとられる気がした」



………………は?


え?え?え?



柚希どうした?!


柚希は、何もなく話を進める。



「だって、ひゅぅがに彼女できたら

一緒に登校できなくなっちゃう。
遊べなくなる。
じゃれあえないし、つまんなくなる」



ドキッ──……………。



柚希……?



「それが怖かったょ」




柚希は、顔が赤い。


熱のせい?


それとも───…………………。



「はぁ…んだよそれ」


ははっと笑った。


「笑うなー////」


振り向いた柚希は、俺に枕を投げる。


全然痛くねぇ。



「柚希。俺玉木のこと好きじゃないよ。

彼女作る気ないし」



それに………



「ちゃんと一定の奴いるし」






目の前に  









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