あんたの隣はあたしだから




はっと気づいたときには、遅かった。



「何泣いてるんだよ」
  


どうしよう……。



てか、タイミング悪すぎ。




最悪。




「別に…なんでっも……な…い」




「何にもなくないで泣かないだろ?」




「ほっん…とに…なん…でもな…い」




「嘘」




日向は、あたしの涙を手で拭った。




心臓が高鳴る。





「……………っ」  




やだよ。このままだったら


幸せだったのに。
 




ねぇ。日向。
 


涙を拭ってあげる人は、



あたしじゃないでしょう?




帰り道や登校するのは、



あたしじゃないでしょう?





優しくしないで………………。





もっとあんたを好きになってしまうから





「やっめ…て」




「言ってみ」




かぁっとなってあたしは、




「日向には関係ないっ!!!


もう聞かないで!」




と叫んでしまった。






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