あんたの隣はあたしだから
「そっかぁ」
悔しいような悲しいような表情で
ニコッと笑った。
「好きな人いるの?」
「いる」
柚希だ。
柚希しか好きじゃない。
「話してくれてありがとう。
ばいばい」
「おう…」
女の子は、そのまま帰って行った。
はぁ。正直振りたくねー。
自分を見ているかのようで
悲しくなる。
柚希だって俺を幼なじみとしか
見てないだろ?
俺も帰ろうとした。
その時──………。
「う…え…えん」
……………え?
誰か泣いてる?
泣き声は、俺のちょっと遠くの
後ろから聞こえた。
さっきの女の子?
いや。反対方向走っていったし。
誰だ?
でも
妙に聞き覚えのある声だ。
泣き声の主のほうへ行くと
は?
うずくまって泣いている
人は、
柚希だった───………………。