あんたの隣はあたしだから




「よぉ」


「うん」


日向は、隣の席に座った。



ドキン………。




緊張する。



ロビーは、静かだ。



あたしの心臓の音、日向に聞こえてないかな?



「それ……智のメアド??」



「うん。なんでわかったの?」



「なんとなく」



「へぇ~~」


あんなにケンカしてるのにすごいね。



てか、どんなこと打とうか。



よろしくね?


自己紹介?  


メアドありがとー?



うぅ──ん。



「柚希さー」



「ん?」



「智にメールする意味ある?」



はい?



「あるよ。」




「たとえば?」



なんなんだ。日向は変だ。



「えっと授業の内容とか………

悩み事とか、情報交換とか
暇な時とかにメールするためだよ?」



あたしがそう言うと


日向は、すくっと立ち上がった。



それで、あたしのケータイを奪ってきた。




「ちょっ!なにすんの?!」



「メアド消すぞ」



はぁぁいぃぃ!?!?



取ろうとしているうちに

日向は、あっけなく智くんのメアドを

消去した。



すぐにケータイをかえしてもらったのは、いいけど



日向は、メアドがかいてあるふせんを




ビリー!



「あーー!メアドが!」



日向は、チリになるほど
やぶいて近くのゴミ箱に捨てた。



「ちょっと何すんのよっ!

ばーか!!日向おかしいよ」



「うるせー!!」



そういうと日向は、

あたしの隣に座った。



「はぁ……ばか?」


「は?何よぅ?!」



「柚希ほんまばか」



「バカバカって言わないでよ」



「だってバカじゃん」 



「うるさ───……………」



うるさいって言おうとした。


叩こうとした。



けれどしなかった。



日向があたしの肩にもたれていたから。








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