誰が遊女を殺したか
明け方近く。

藤田は一人、警察署を出る。

巡回の為と称して同僚には伝えておいたが、その殺気は抑え切れていなかった。

たかだか夜の巡回の為に、業物であるかつての愛刀を帯刀して出て行く剣客警官などいるものか。

それほどに藤田は殺気立っている。

いや、正しくは『立ち戻っていた』という方がいいだろう。

麻布警察署詰外勤警部・藤田 五郎ではなく、『新撰組三番隊組長・斎藤 一』に…。

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