誰が遊女を殺したか
根元近くまで吸った煙草を足元に捨て、靴の踵で踏み潰す。

藤田は直感していた。

この下手人は、過去に藤田が対峙して来た連中とは違う。

真っ向勝負を挑む侍でもなければ、斬る行為に魅せられた人斬りとも違う。

敢えて言うなら、血と肉を斬る事を好むイカレ具合は同じものの、『侍ではない』。

…根拠はない。

しかし、長きに亘って修羅場に身を置いてきた藤田の勘が、そう告げるのだ。

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