愛する眠り姫に目覚めのキスを
―――
「直紀くん!♪」
トボトボと2人で無言で歩いて
俺たちの持ってきたパラソルのところに行けば姫野が抱きついてきた。
詩音はつばきを見るなり
「どうしたのよっ!?」
涙のあとに気づき駆け寄った。
それを見て、またもや罪悪感があふれ
胸が苦しくなる。
「.....何でもない....」
「何でもないわけないじゃない!
泣いた跡あるのに!」
「何でもないの!」
「っっ...
そう....」
大きい声で言ったつばきに圧倒され
詩音は黙る。
焼きそばを持った瞬介も
つばきと俺の様子が変なことに気づき
しんみりとしていた。
「.....あのさ....
とりあえず別荘戻ろーぜ?」
しばらく沈黙が続いたとき
瞬介がそう言った。
「そーね...
つばき...姫野さん...行こ?」