愛する眠り姫に目覚めのキスを
「...直紀くん....?」
比較的温厚な直紀くんが発した声にその場が一気に静まり返る。
姫野さんまでもが驚いていた。
「ちょうど人がたくさん集まってくれてよかった。
これのほうが早く終わるしな」
「ちょ、何したいの?
人がたくさん集まってるところで何か言ったってみんな私のことを信じるわよ?」
さっきまで泣いていたはずの姫野さんは
私と直紀くんにしか聞こえない声で言う。
────ぶっ
....?
私を抱きしめる直紀くんが小刻みに揺れ始めた。
「な、なにがおかしいの?
まぁ笑ってられるのも今だけよ。
この騒ぎで直紀くんの大事な彼女さん...
もっといじめられちゃうから♪」