キスマーク



とりあえず、



「あの、私も初めてなもので―…鈴原詩織と言います」



と、私も続けて自己紹介をする。とすぐに、



「失礼致します」



という声が襖の向こうから聞こえ、仲居さんが飲み物を持ってきた。



最初に出されたアルコールは京の地酒。それから次々に料理が綺麗に並べられていく。また、仲居さんが下がると、



「では、乾杯しましょうか」



と、久瀬さん。


地酒で乾杯なんて接待の時くらい。接待といっても秘書が同行する機会はそこまで多くないし、出会いを求めての男性との飲み会なんかだと先ずないからとても新鮮に感じる。





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