キスマーク
それにしても―…キスマーク、なんて悪質な悪戯をしてくれる。
「もう……今度からは絶対にしないで」
「何でしちゃ駄目なの?」
「こんなのがあると出逢いのチャンスを逃がしちゃうでしょ?っていうか、明後日は絶対に良い相手見つけるから、そうなったらもう今夜限りね」
そう言いながら、服を着て帰り支度を進める私。
「ふーん……」
と、まだ裸のまま私に視線をおくるヒロ。
まるで明後日の合コンに良い出逢いなんて無い無い、って言ってるような―…そんな視線。
寂しいとか言って甘えたてきたかと思うと生意気な態度。
キスマークなんていう生意気な行為。
まぁ、気付かない私も私だけど―…
“先約アリって印”
なんて、生意気な台詞。
六つも年下の男に言われるなんて。年上女相手に学生が何を言っているんだか……やっぱり遊び慣れしているんだろう、と思う。
見た目通り軽い男。
だって私達の出逢いだって、
あんなに軽い出逢いだったから―…
そこまで思うと、
「じゃあ、今度こそ帰るから」
バッグを持って立ち上がった私。