キスマーク
今から会おう、だなんて―…会ってどうするの?
まだ何か話があるなら電話で済ませれば良い。
それに―…こんな状況になって住所を聞いてくるヒロ。
ヒロは私の住むマンションは知らないまま。今さら知ってどうするの?
「何で今さら教えないといけないよの……」
今までずっとマンションを教えなかった私が、別れ間際に教えるわけない。そんなこと位、ヒロでもわかるでしょう?
そんな私の言葉に、
『会いたいからだよ』
と、ヒロ。
最後にもう一度したいという意味なら、もう私にそんなつもりはない。
「来たってしないわよ……」
『違う。会いたいんだ、シオリさんに。俺が行かないとシオリさんは絶対にもう来てくれないでしょ?』
「行かないし、教えるつもりもないわ」
『―…教えてよ』
「嫌よ」
『教えて』
「嫌」
『何で?俺のマンションは知ってるくせにズルイよ』