キスマーク
「ズルイって……」
何を今さら言ってんの?
二回目に会った夜、部屋に連れ込んだのはヒロだ。ヒロの部屋に「行きたい」だなんて一言も言ってない。
それをズルイなんて言われても困る。
それに―…
『シオリさん会いたいよ……少し会うだけでいいから』
携帯越しに聞こえてくるヒロの甘えるような声。
そんな甘えた声で“会いたい”なんて、
ズルイのはどっちよ。
確かに、ズルイ男になってと願ったけれども、こんな状況でそんなズルさを見せられることなんて望んでない。
『ねぇシオリさん……会いたい』
会いたい、会いたい、少しでも良いから―…
『会いたいんだ―…貴女に』
コール攻めの次は、“会いたい”という言葉のリピート。