キスマーク
常務から紹介された久瀬さんとは順調に連絡を取ってる。ただ、お互いに仕事もあって忙しいから、イタリアンを食べに行ったあの夜以降なかなか会えていない。
でも今日はお互いに仕事も休みで、午前中から待ち合わせをしてゆっくり過ごそうっていう話になってる。
念入りにメイクをして、服だって買ったばかりのお気に入りのブランドを身に付ける。
久瀬さんとはまだ食事しかいけていないけど、きっと今日は何か進展する事があるような気がする。
久瀬さんのこと真面目に考えていきたいと思う、と麻里に話せば、麻里も「絶対そうしたほうがいい」「応援するから!」と背中を押してくれた。だから、
私がした選択は間違いじゃない。間違いなんかじゃない、と鏡に映る自分を見つめて思う。
久瀬さんとなら、きっと大丈夫。少し長く遊んでしまった年下の彼との事なんて直ぐに忘れることが出来る、と―…そう思う。
鏡で全身のチェックをして、
「よしっ、と」
気合いを入れる私。