キスマーク
もしヒロに“好き”なんて言われたら―…
でも、まぁ、言われても、その“好き”を真面目に捉えても仕方ない。
そんな事を思いながら、
何でヒロの事なんて考えているんだろうって思う。
“もし”なんて考えたって、相手にするだけ無駄な時間だって事は解かりきってるのに―…
と、
「詩織ー、ごめんっ、待たせた?」
やって来たのは麻里。メイクも服装も何時もよりやっぱり気合いが入ってる。
「ううん、大丈夫。昨日、エステどうだった?」
「うん。ちょー良かった。詩織も良かったら行きなよ~癒されるよ~」
「じゃあ、今度一緒にいこっかな」
「行こうよ~予約とっておくし!」
そんな会話をした後、
「では、行きますか」
と、麻里の声で歩き出す。
「あ、他のメンバー先に店に入ってるって」
「そう言えば女子って他に誰が来るの?」
「先々週同様、総務部のおひとりさまメンバー」
「やっぱり……」
「今夜こそは良い出逢いがあるといいねぇー」
麻里の言葉に、
「そうだね」
と、答えながらも、どうしてだろう……
イマイチ、気分が盛り上がってこない。