キスマーク
「しないでって言ったのに―…」
少しの沈黙の後、やっと口から出た言葉。
「シオリさんが心配なんだよ。焦って変な男に捕まらないか」
「余計なお世話よ……」
冷やかしにきたのかと思えば今度は心配しているつもり?
「シオリさんって目の離せない姉さんって感じ」
「はぁ……?」
私の何を知っているの?と思う。それに“姉さん”って―…じゃあヒロは姉思いの弟のつもり??
でも、どう考えたって私達の関係を姉弟に置き換えるのは無理がある。
姉の肌に吸い付いてくる弟なんておかしい。
姉の身体に入り込んでくる弟なんておかしい。
弟と素肌で抱き合って欲情する姉も―…おかしいでしょ?
「いい加減戻らないと―…どいて」
強い口調と眼差しで言うと、ヒロは何も言い返さず、意外と素直に私の身体を解放した。