キスマーク
ズルい彼



合コンに参加した土曜日、あの店でヒロを確認したのは私達が店を出ようとテーブルを立ち、出入り口に向かおうとした時だった。ヒロが座るのは私達が座っていた場所からは離れたテーブル。


男だけか、なんて思ってたら女が一人。


男女の比率的に合コンとかじゃなくて、本当に同じ大学のコ達のとの集まりっぽいけど―…紅一点の彼女はヒロの隣りにぴったりと引っ付くように座っていた。


通りすがりに見ただけだけど、その彼女はヒロに気があるんだろうなって事は女の勘も働いて何となくわかる。


遠目からだけど、可愛くて今時の女子大生っていう感じのコ。


私なんか相手にしなくても身近にそんな魅力的な女子がいるんじゃないのって思ってしまったり。



偶然居合わせてしまったダイニングバーでは、化粧室という密室の空間以外で私とヒロの視線が重なる事はないままだった。



結局あの日は、一次会で解散。


他のメンバーは傍から見れば盛り上がっているように見えたのに、二次会に行くほどまでではなかったみたいで―…一応、連絡先を交換したとは言っていたけど、携帯に登録しただけでおわる確立のほうが高そう。


結果、みんな目に見える成果は無しのようだ。



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