キスマーク
“無駄足だったでしょ”
憎らしく微笑むヒロの顔が浮かぶ。
悔しいけど、あなたの言った通り。
ヒロと会うのも木曜の夜が二人の最後の夜とはならなかった。
空振りに終わった合コンの翌日、夕方の18時過ぎ。
「会おうよ」
というヒロからの連絡。
明日からまた一週間が始まるというのに、ヒロから誘われるまま、面倒臭いと思いつつも出掛ける仕度をしてヒロのマンションを訪れてしまう。
「良かった。シオリさんがまた“ここ”に来てくれて」
玄関のドアを開けるなり、そんな言葉で私を出迎えたヒロ。嫌味のつもり?と思ったけど、あの日あんな言葉を言ってしまった手前、会った早々強い言葉で反撃できない私がいる。