キスマーク



少しの間が出来て、



「―…そうだよ」



と、答えるヒロ。



変な事を聞いてしまった、と思う。これじゃあ、まるで私が同席していた彼女を意識していたみたいじゃない。


でも、“そうだよ”って事は将来は女医か……容姿も可愛いし、医者を目指せるほど頭も良いなら、パートナーに選ぶのに良い要素だらけじゃないと思う。



「もしかして妬いてくれたの?」



後ろから私の顔を覗き込むようにしてヒロが言ってくる。



「なわけないでしょ」


「じゃあ、どうしてそんな事聞くの?」


「良い雰囲気に見えたから聞いてみただけよ。それよりも―…」



“それよりも”と、この件に関してこれ以上突っ込まれるのを避けたい私は次の話題を探す。


ちょうど目に入ったのはテーブルに置かれていた眼鏡。




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