キスマーク
自分の魅力をよくわかっていると思う。これが全て無意識だと言うのなら、ますます性質が悪い。
けれども私も、そんなヒロからなかなか離れられないダメな女。ヒロを手放せないズルい女―…
だって今、都合よく私の欲求を満たしてくれるのは彼しかいないもの。
「絶対だよ?」
その言葉の後、ヒロは何時もの様に甘く私の耳たぶを噛む。
さっきまで私の上半身を優しく包み込むようにしていた手は、何時の間にかブラジャーの中にまで侵入してる。
ぐっと乳房を持つ手に力を込められると、
「あ、ぁっ―…」
冷たい言葉ばかりを放っていた私の唇からは“女”の声が漏れ始める。
普段は突き放すような言葉ばかりなのに、こんな時は“もっと、もっと”とヒロを求める。
そんな私は矛盾だらけのズルい女。
だから、お願い。ヒロにはもっとズルい男になって欲しいと願ってしまう。
私のズルさが霞む位に、私なんかよりも、もっと、もっと―…
ズルい男でいて。