キスマーク
私の仕事終わりに合わせて待ち合わせって言っていたから、退社時間を大体予想して私から事前に待ち合わせ時間なんかを指定してあげた方が良かったんだろうけど、
今日はそんな余裕ナシ。
ヒロに連絡―…と思いながらも、喉も渇いたし、疲れたし、コーヒーでも飲んで一息つきたいと思う。
直ぐ側にあったコーヒーショップに入り、水出しのアイスコーヒーをオーダー。
外の通りがよく見える窓際のカウンター席に座り、喉を潤す。
普段はアイスコーヒーにミルクもシロップも入れないけど、今日は疲れているからか両方一つずつ入れて甘めに。
落ち着いたところで、そろそろ連絡を入れないと、と、携帯を取り出しヒロの番号を表示させる。
右手で携帯電話を持ち、左手でアイスコーヒーを一口。
発信を押す前に、何気なく窓の外を見た時だった。
「―…」
若い男女のカップルが目の前を通り過ぎた。