キスマーク
さて、次はヒロにキャンセルの連絡を入れないと。
そう思うと、今度はすんなりと表示されたヒロの番号に発信を押す。けれども聞こえてきたのは、
『お客様がおかけになった電話番号は電波の届かない―…』
という電源オフのアナウンス。ヒロの携帯に繋がらない状況。
何よ、これじゃ結局連絡がとれないじゃない……
さっきから、じわりじわりと大きくなる心のイライラ。
仕方ない。そのうち向こうから連絡してくるはず。
アイスコーヒーを飲み終え、窓際カウンターの席を立ち店を出た。
そのままの足で向かったのは、徒歩圏内で行ける老舗ホテル。
このホテルで20時に本館のバーラウンジで一哉と待ち合わせ。