STEAL!!~大切なモノ盗みます~
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広い部屋の中央、一人の男はソファに腰を降ろし一点を見つめている。
視線の先は一枚の紙。部屋の大きさに見合ったテーブルの上に無造作に置かれたそれに書かれた存在を知るものは数少ない。
「まさかこんな所に眠っていたとはな……」
「如何なさいますか?」
男の言葉に反応して、部屋の隅から男のものとは異なる声が聞こえた。薄暗い部屋の中で二つの声のみがこだまし、その姿は見えない。
「無論、この手に。あれを手に入れさえすれば……私は必ず優位に立てる。」
「……御意に。」
その一言を最後に部屋から一つの気配が消えた。
残った男は大きく息を吐き、紙の上に指を滑らせる。
「必ずこの手にしてみせるさ……失われた破片、ロストピースを。」
静寂の中、男の言葉だけがやけにはっきりと聞こえていた。
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