STEAL!!~大切なモノ盗みます~
それでもウィズからもたらされた依頼は魅力的だ。

 ウォルフの身なりを見てもかなり裕福なのは間違いない。依頼内容はどうであれ、報酬はかなりのもののはず。

「……依頼内容は?大した依頼じゃねーならてめぇらぶちのめす!」

 ユーリはもう一度腰を降ろすと、ウォルフを睨みつけた。

「威勢のいいお方だ。いいだろう、ウィズ。」
「畏まりました。」

 威嚇するようなユーリの様子にまたも笑みを浮かべながら、ウォルフはウィズに指示を出す。

 ウィズは軽く眼鏡を押し上げながらユーリの元へ進むと、一枚の紙を取り出しテーブルに置いた。

「あなたに探して頂きたいものがあります。さほど大きくはない皿です。詳細はこちらに。」

 ユーリは紙を手に取り目を通す。

 皿の大きさや色などが書かれているが、さして特徴があるというほどのものではない。何処にでもありそうな普通の皿のようだ。

「こんなもんをわざわざ金払って探してんのか?その辺で売ってんの買った方が手っ取り早いじゃん。」
「物の価値は人それぞれと申します。ユーリ様、あなたは依頼を忠実にこなし、その皿をウォルフ様の御前にお持ち頂ければよいのです。」
「……喧嘩売ってんのか?」
「いいえ?正当な主張をさせて頂いているだけでございますよ。依頼する以上、ウォルフ様はあなたの客に当たります。客からの依頼は完璧にこなす、それでこそプロというもの。」
「………っ…」

 ユーリは一瞬言葉を失った。

 ウィズの口から放たれた言葉は正論だ。依頼は完璧にこなし、成功させてこそなのだから。

「その皿の持ち主、住所も記載させて頂いておりますので。」

 考え込むように口を閉ざしている間に聞こえてきた言葉にユーリは顔を上げる。

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