カフェラテ
申し訳なさでいっぱいになって俯いた。声が震える。

「す、すみませ…」

「謝る前にまずは駅に行くぞ。乗れアホ」


いつもより少し乱暴な声で言うと、私に背を向けてしゃがみこんだ。

これは…おぶわれろということ?

「あの、歩ける…」

「乗れ」

有無を言わさない声色に、私はビクビクしながらその大きな背中に乗った。

すっと世界が高くなって、思わずきゃあと悲鳴を上げた。


「ちょっとは女らしい悲鳴上げられんじゃん」

先輩の声が、いつも通りの声色に戻っている。

「と、うぜんです、よ!」


見栄を張ってみたけれど、声が震えているのが私にもわかった。

滝先輩はそれ以上なにも言わず、駅までの暗い道をすたすたと歩き始めた。


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