カフェラテ
5分足らずで駅に着くと、待合室のベンチに座らされた。

「待ってろ」

滝先輩はそれだけ言い残すと、どこかへさっと消えた。


しばらくすると、濡れたタオルを手にして戻ってきた。

「まずは手だな」

乱暴に右手首を掴むと、思いのほか丁寧にてのひらを拭ってくれた。

「痛かったら言えよ?」

「はい…」

傷口を通るたびにチクチクと傷んだけれど、言うまでもなかったので、口をへの字に曲げて耐えた。

両手を拭いてもらったあと、滝先輩の顔が下に下がったので、慌てて静止した。



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