想いは硝子越しに
出会ってからのパパさんは本当に優しくて明るいからもしかしたら気のせいかもしれない。

でも、どうしても私はその胸のモヤモヤを消す事が出来なかった。

お兄ちゃんは家に帰って来てから自分の部屋から出る事は殆どないんだ。というより何時もバイトばっかりで家にいる事の方が少ない位。

朝も私が起きる時間にはもう学校に行っちゃってる。

誰とも殆ど顔を合わせない生活、そんなのを家族を凄く大事にしてるパパさんがほっとくようには思えない。

でもパパさんはお兄ちゃんに何も言わないんだよ。

テレビ見ながらケーキ食べてる時だって、私が『お兄ちゃんに声かけよっか?』って言っても『放っておけばいい』なんて……

「………どうしてなのかなぁ…?」
「アタシに言わせたらアンタの方がどうしたって話なんだけど?」
「へ?あ、ごめん。ちょっとどっか飛んでたや。」

私は頭の中をトリップさせたままついつい考えてた事を口に出してて、向かいに座ってたなっちゃんが呆れたみたいにこっちを見てた。

私は慌ててごまかす。

いけない!すっかりここが学校で今が昼休みだって事を忘れてたっ!!

「いや、これからはお母さんいっつも家にいるじゃん?放課後いっぱい遊べるようになるなって思ってさ。」
「あっ、それ言える!んじゃ今日帰りカラオケとかどう?」
「あっ、それいいっ!」

さりげなく話の流れを変えるとなっちゃんは対して気にする様子もなく話題に乗ってくれた。

別に隠すほどの事じゃないけど、私も核心持ってるわけじゃないし、それに家族の事だしね。

「じゃ、帰りはそのままBOXねっ!」
「りょーかいっ!」

と、話がまとまった所で昼休みの終わりを知らせるチャイムが聞こえてきた。

けれど会話に夢中だった私達の膝の上のお弁当箱の中にはまだ半分以上中身が残ったままだ。

「えっ、嘘っ!?」
「もう食べてる暇ないって。戻るよっ!」

私達は急いで片付けると教室へ向かって走り出した。

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