甘い言葉に惑わされて



ポツ―・・・ポツポツ―・・・・

「え・・・・うそ?・・・・あ、あめ?」

しだいに雨の強さは増していく。


「げっっ!!!傘!!!まどかに借りに行こ・・・」

振り返り後ろを見ると、まどかと男の姿。

嬉しそうに笑うまどかの顔は、久しぶりに見た。


私の存在に気が付き、まどかが駆け寄ってくる。

「星羅!!!アンタ傘!!今日は雨だって言ってたでしょ!!」

そう言って私に傘をさして渡してくれる。


「まどか、傘、ありがとう。・・・・・・・・・よかったね。おめでとう。」

「え?あ、あぁ。うん。あ、ありがとう。」

そう言って少し気恥かしそうに笑うまどか。


「じゃ、彼氏さん待ってるし、行きなよ。」

「え?ああ、うん。星羅。泣きたくなったらまた来ていいから。」

そう言って走って行くまどかを見ずに私は歩き出す。




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