カシスオレンジみたいな恋







これは何かの悪い夢なのだろうか






それとも夢じゃなくて冗談なのだろうか





なーんてな。って笑って言われてしまうんじゃないかって


そんな気しかしなかった



けど、







「不器用で、ヘタレでごめん


俺、お前のこと好きだ


――ずっと前からミユが好きなんだ」







ギュウッと抱きしめられた体




止まりかけていた涙がボロボロとまた流れ、先輩のシャツに頬を伝い滲んでいく









「泣き虫っ......」





耳許に響く先輩の声は優しくて、優し過ぎて涙がとまらなくなる







でもやっぱり私の口からはひねくれた言葉しか出せなくて





「あ、あたしは………」








言葉に詰まる





――――――好き



って、あと一歩ってところで声が掠れて出なくなる








こんなに臆病だったっけ?


まだ先輩のことが信じられなくて


ただ胸の中で行き場のわからなくなった手で先輩の胸元のシャツを軽く握る




それは私なりの、私なりの......






「――ったく、お前ホントひねくれてるな」






はぁーっとため息をひとつ零しながらそう言った先輩は私を軽く離して



私の額に自分の額を重ねた




あまりにも近いその距離に直視できるわけなくて


でも直視せざる終えなくて





「俺、真剣なんだけど…嘘に聞こえた?」








先輩がその時の瞳はコワいくらいに真剣で


ウソだなんて思えない



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