カシスオレンジみたいな恋
私の頬を先輩の両手が包む
暖かくて柔らくて
けど男らしいその手は私の頬を優しくつつむ
「せ、んぱ......い.........」
「ん?」
「冗談……じゃない?」
「うん」
「あたし…素直になっていいの?」
「当たり前だろ」
私の不安を取り除いてくれる優しい声
ニコッと笑って私を見つめてくれる先輩がいつになく愛しい
最初は本当に先輩が嫌いだった
なんでも軽くこなす先輩が
スポーツ万能で頭もよくてかっこよくて
みんなから頼られていて優しくて
要領のいい先輩がダイッキライ
でも、ちょっぴり意地悪で意地っ張りで
不器用でヘタレで......
ダイッキライだったのに
そんな自然体な先輩にいつの間にか惹かれていて
そんな先輩が
先輩が――
「私は先輩が......ダイッキライです」