カシスオレンジみたいな恋
「ちょっとこれ持って」
先輩の下駄箱のロッカーから取り出されたいくつかの可愛いラッピングのされた箱や袋
「何これ?」
「んあ?…あ、それバレンタインのチョコ」
ひー、ふー、みー、よー、いつ……
「流石、タラシ先輩。モテマスネー」
イヤミたらったらな台詞を吐いた可愛くない私
そんな私をジッと睨んだかと思うと口を尖らせてフイッと視線を逸らされた
「誰がタラシだよバカ。そんなホイホイ女を抱くような男じゃねぇーよ」
「えー そんな人間にシカ見えないです。
てか、 ホイホイっておっさんみたい」
「うるせーぇな。
ってシカを強調しなくていいから」
ムッとした表情なのか呆れてる表情なのかは定か ではなかったが
十数個ものチョコレートを抱きながら階段をサッサと上って行ってしまった先輩
そんな先輩が持ちきれなかった先輩の貰ったチョコレートを抱えて後ろをついて行く私
なんか
おもしろくない
心の奥がムズムズして.....
気分が悪い
「何?ヤキモチ?」
そんな感情はいつの間にか顔にまで出ていたらしく
ニヤニヤしながら振り返った先輩に一瞬また胸の高鳴りを感じたが
「まさか」
私もまた、そう一言可愛くない言葉を吐いて視線をフイッと逸らした
てか、今日はバレンタインデーなんだ
恋愛に興味のない私には関係ない話
周りがそう言えば騒いでたっけ?
程度で......
そんな私とは対照的に
モテる男は大変ですね