カシスオレンジみたいな恋
「チョコレート机に置いときますよ」
「ありがとう」
私達が今居るこの教室には備えつけの冷蔵庫があり、そこにもらったチョコレートを詰め込んで行く先輩を横目に
はぁー
と1つ大きなため息をついて机上に広げられた飾りやらなんやらを片付ける
「こんな遅くまでつき合わせちゃってごめんな...」
いつになく元気のない声で先輩がそう言うから少し驚きはしたものの
「別に構いませんよ。私も生徒会役員なんですから
それに
不器用先輩 1人に任していられませんしね」
「一言余計なんだよ。かわいくねぇーな」
「すいませんねー」
とまた可愛くない言葉を吐く私
チョコレートを入れ終わり冷蔵庫をパタンと閉めながらそんな私を見て呆れた態度をとる先輩に
私も先輩の真似をしてプクッと頬を膨らませてみた
「あーあ。今年も本命からのチョコはもらえなかったな」
「あれ? 先輩まだ他にも好きな人いるんですか?」
そんな私には目もくれず
話を逸らした先輩が片付けも手伝わずにイスにカタンと座るのを見て
少しイラッときた私はまたイヤミったらしく口を開いた
「俺ね、去年からずっと片思いしてんの」
「え?」
そんな私の嫌味など聞こえなかったかのように語り出した先輩に
驚きと動揺からか片付ける手が止まる
「俺、最初その子同級生だと思っててさ
だけど制服の校章の色が1年の色でね
俺以外にも狙ってるやつたくさんいるらしいんだよ
でも、それに本人気づいてないの
可愛いのに自分じゃ可愛くないって思ってるみたいだし
あ、でもこの前告られてたっけ…」
先輩は天を仰ぐように上を見ながら話す
上を見つめたところで天が見えるわけでもなく天井が見えるわけだが
「あ、そういえばお前、彼氏いるの?」
「はあ!!?」
あまりにも唐突過ぎるその質問に、思わず声が大きくなるのを押さえきれずに目を見開いて驚いていると
「なるほど、リア充 氏ね組の人か」
とニヤニヤしながら先輩が言うから少し悔しくて
「ちがいますよ。リア充 爆発しろ ですよ
あ、ついでにタラシ先輩も......」
と訳の分からない強がりを笑顔で吐いてしまった
「ひでぇーな。 つーか、タラシ先輩言うなよ」
そんな私の発言にブスッと拗ねた先輩をクスクスと笑っていると
口を尖らせたままの先輩にギッと睨まれた