カシスオレンジみたいな恋
「俺が卒業するの…どう思う?」
そう言いながら私を真剣に見つめた先輩
どう思う?
どう思うって――
そんなの
そんなの――
「別に何も…」
いやに決まってるじゃん......
素直な想いとは裏腹に思ってもいないことを口にする私
あたかも気には止めていなかったような
そんな素振りで
そんな可愛くない最低な言葉を吐いて俯いた
真剣な先輩に最低な言葉吐いといて
先輩の顔なんて見れるわけない
言ってすぐ後悔するも一度吐いた言葉は取り消すことができなくて
「……だよな」
そう先輩が鼻でクスリと笑う声が聞こえて
顔をあげると先輩は口角を吊り上げていた
「決めた。俺、今から好きな人に告白する」
「えっ?」
「お前に俺はヘタレ先輩じゃないって見せつけてやんの」
そのままニカッと笑って立ち上がった先輩はさっきの私の言葉なんて気にも止めずに
さっきの質問が無かったかのようにそう言った
「学校にまだいてるんですか?」
「いてるよ
今日は泊まりだって聞いたから」
「そうなんですか…
まあ、精々頑張ってください」
「任しとけ、絶対に相思相愛になってみせるから」
あ「なにそれ」
笑って返事を返すものの
先輩が1つ、2つとしゃべると同時に私の中で何かがズキズキと音を立て
そして欠けていく
胸はグッと締め付けられ、息すらできないんじゃないかってくらいに痛い
これがウソばっかりついていた私への神様からの罰なのだとそう感じた
ホントは先輩のことが――
なんて、考えることもダメなんだ