カシスオレンジみたいな恋
「好きな女に泣かれてほっとけるわけないだろ」
頭の中で何度も何度も反復する言葉
それが意味するのこと
「ごめん、からかいすぎた
俺さ、好きな人んとこ行ってくるなんて嘘」
抱きしめられたまま
ひだまりのように暖かい先輩の腕の中で
頭上から降り注がれる優しげな声に耳を傾けると
声だけじゃなくて
先輩の胸を打つ鼓動までも聞こえてきた
それは私と同じように
まるでシンクロしているんじゃないか
って思うくらいに同じようにタイミングで鼓動は早いスピードで打たれていた
「俺の好きな人......
ずっとここに、目の前にいたから」