妖乱譚(ようらんたん)~幻魔神戦記~
「…どうかなされたか?」
『!!!』
しかし直ぐに目を反らされた
紅緋は苦笑しながら立派な車輪を優しく撫でた
「輪入道殿、この度は私の都合で貴殿に迷惑を掛ける。申し訳ない」
輪入道は驚いた
銀呼からは「あんな人間と関わるな」と聞き、鈍と聴司からは「変わった人間」と聞いていたためどんなに破天荒な人物かと恐れていた
しかし見ていれば美しい姫君で口調は男のようだが端々に気遣いが見られ、見た目の恐ろしい自分にすら優しい言葉を掛ける
人間とは自分達を畏れ、忌む者と思っていた自分が恥ずかしくなった
『な、なんのっ!この輪入道、鉄太(てつだい)!国一の美姫を乗せるのに誇りは感じるも迷惑など思うはずがないっ!』
野太い声で答えると紅緋が困ったように笑う
「美姫などとんでもない。そんな柄ではないよ」
三人の揉め事も終わり、結局聴司が中での護衛を任される事になった
「申し訳無い。この姿でなければ自分の身は自分で守れるのだが…」
「ふん、馬子にも衣装とはよく言ったものだ」
「鈍と降りてきた時ドキッとしたくせに」
「聴司っ(怒)」
喧嘩しだした(銀呼が怒っているだけで聴司は笑っている)二人におろおろする紅緋と鉄太
「早く出発するぞ。昼頃には着くだろ」
また鈍に促され鉄太の中に入る
「…鉄太殿はすごいな…」
鉄太の車は綺麗で広い
感心していると、鉄太に声を掛けられる
『なんなりと申し付けを。揺れが気になるようならば最大限気を付けて走ります故』
「すまない。私の事は気遣わなくていいから迅速に、鉄太殿が無理でない程に走ればそれでいい」
感謝を述べていると聴司が入ってきた
「準備出来たよ。何時でもどうぞ」
そう言うと鉄太はゆっくりと動き出す
「ほんと緋色さん綺麗だね。いつもそんなお姫様みたいな格好してくれたらいいのに」
「止めてくれ。私はそんな事言われて喜べる人間ではない。それに、着流しが楽で仕事がしやすいからな」
苦笑する紅緋を見て聴司は懐から針を取り出した
「耳いい?」
「ん?」
聴司は言うと紅緋を抱き寄せる
「…耳に穴を開ける程度でこの格好は必要か?」
「動かないでね。なんなら僕の服噛んでいいから」
「そんな…」
耳に針を宛がわれ、少し体が固くなる
「少し、我慢して…」
「…っ…!」
ぷつ、と皮膚の破れる音と共に感じる僅かな痛み
針が耳朶を貫いた痛みは僅かだが、焼けるような感覚はいつまでも慣れない
「…ごめんね?痛かった?」
「…この程度、痛い内には入らんさ」
申し訳なさそうに額に口付ける聴司をあやすように撫でる紅緋
布で耳の血を拭い、次に取り出したのは銀の耳飾り
銀の細く短い鎖で繋がる小さな赤い玉で作られた蓮の花と小さな銀の雫の付いた輪を穴の空いた耳に着けた
「ん、可愛い。蓮の花にして正解かな」
「…私には勿体無い」
「ううん、すっごく可愛い」
ぎゅうぎゅう抱き締める聴司に紅緋は苦笑する
『!!!』
しかし直ぐに目を反らされた
紅緋は苦笑しながら立派な車輪を優しく撫でた
「輪入道殿、この度は私の都合で貴殿に迷惑を掛ける。申し訳ない」
輪入道は驚いた
銀呼からは「あんな人間と関わるな」と聞き、鈍と聴司からは「変わった人間」と聞いていたためどんなに破天荒な人物かと恐れていた
しかし見ていれば美しい姫君で口調は男のようだが端々に気遣いが見られ、見た目の恐ろしい自分にすら優しい言葉を掛ける
人間とは自分達を畏れ、忌む者と思っていた自分が恥ずかしくなった
『な、なんのっ!この輪入道、鉄太(てつだい)!国一の美姫を乗せるのに誇りは感じるも迷惑など思うはずがないっ!』
野太い声で答えると紅緋が困ったように笑う
「美姫などとんでもない。そんな柄ではないよ」
三人の揉め事も終わり、結局聴司が中での護衛を任される事になった
「申し訳無い。この姿でなければ自分の身は自分で守れるのだが…」
「ふん、馬子にも衣装とはよく言ったものだ」
「鈍と降りてきた時ドキッとしたくせに」
「聴司っ(怒)」
喧嘩しだした(銀呼が怒っているだけで聴司は笑っている)二人におろおろする紅緋と鉄太
「早く出発するぞ。昼頃には着くだろ」
また鈍に促され鉄太の中に入る
「…鉄太殿はすごいな…」
鉄太の車は綺麗で広い
感心していると、鉄太に声を掛けられる
『なんなりと申し付けを。揺れが気になるようならば最大限気を付けて走ります故』
「すまない。私の事は気遣わなくていいから迅速に、鉄太殿が無理でない程に走ればそれでいい」
感謝を述べていると聴司が入ってきた
「準備出来たよ。何時でもどうぞ」
そう言うと鉄太はゆっくりと動き出す
「ほんと緋色さん綺麗だね。いつもそんなお姫様みたいな格好してくれたらいいのに」
「止めてくれ。私はそんな事言われて喜べる人間ではない。それに、着流しが楽で仕事がしやすいからな」
苦笑する紅緋を見て聴司は懐から針を取り出した
「耳いい?」
「ん?」
聴司は言うと紅緋を抱き寄せる
「…耳に穴を開ける程度でこの格好は必要か?」
「動かないでね。なんなら僕の服噛んでいいから」
「そんな…」
耳に針を宛がわれ、少し体が固くなる
「少し、我慢して…」
「…っ…!」
ぷつ、と皮膚の破れる音と共に感じる僅かな痛み
針が耳朶を貫いた痛みは僅かだが、焼けるような感覚はいつまでも慣れない
「…ごめんね?痛かった?」
「…この程度、痛い内には入らんさ」
申し訳なさそうに額に口付ける聴司をあやすように撫でる紅緋
布で耳の血を拭い、次に取り出したのは銀の耳飾り
銀の細く短い鎖で繋がる小さな赤い玉で作られた蓮の花と小さな銀の雫の付いた輪を穴の空いた耳に着けた
「ん、可愛い。蓮の花にして正解かな」
「…私には勿体無い」
「ううん、すっごく可愛い」
ぎゅうぎゅう抱き締める聴司に紅緋は苦笑する