ブンちゃんとぱらぱら小道
しばらくそうしてワンピースの列を眺めたあと、ブンちゃんは閃いたようにひとつのワンピースを取り上げた。
「今日はきっとお天気だから、これにしましょう」
白い襟の付いた空色のワンピース。
続けて靴下と靴を選んで、ブンちゃんは満足そうににっこりした。
「空とおそろいです」
ベッドの上に洋服たちを並べてから寝室を出ると、アメさんがひらりとベッドを降りてブンちゃんについてきた。
「ああアメさん、私は今日もお散歩にゆきますが、アメさんはどうしますか?」
足元のアメさんにブンちゃんが問いかける。アメさんはブンちゃんを見上げて眠そうに「なぁあ~」と鳴いた。
「わかりました。では一緒に出掛けましょうね」
アメさんが何を言ったか理解したらしいブンちゃんが答えた。アメさんはもう一度満足そうに「んなぁ」と鳴いた。
アメさんの朝ごはんを用意してからゆっくりと身支度を済ませ、ブンちゃんは空色のワンピースを身にまとって家を出た。足元には鈴付きの赤い首輪を付けたアメさんも一緒だ。
「今日も素敵な一日になるといいですね、アメさん」
アメさんは大きく口を開けて欠伸しただけだった。
ブンちゃんは空を見上げた。ブンちゃんのワンピースの襟みたいな小さな雲がぽかりぽかりと浮いている。ブンちゃんと空はおそろいのワンピースを着ているみたいだった。