ブンちゃんとぱらぱら小道
お魚屋さん
スドーさんの後ろ姿を見送って、ブンちゃんは首を傾げた。
「守りたいひとができたら、好きではないこともしなくてはいけないのでしょうか」
ブンちゃんの守りたいひと(猫)はアメさんだ。
アメさんのことは守りたいけれど、ブンちゃんは変わらず好きなことだけをしている。
ブンちゃんはよくわからなくなって、首を傾げたままお散歩を再開した。
「よおブンちゃん、おはよう!」
大きな声にブンちゃんは飛び上がった。
振り向いて見ると、頭にハチマキを巻き付けたお魚屋さんが大きく手を振ってにこにこしている。
「ああ、お魚屋さん。おはようございます」
ブンちゃんはお魚屋さんに近付いてにっこりした。
店頭には、たくさんのお魚が所狭しと並べられている。
ブンちゃんの顔よりずっと大きくて泥のような色をしたお魚とか、ブンちゃんの爪くらい小さくて白く透き通った綺麗なお魚とかをじーっと眺めるのがブンちゃんは好きだった。
そうして厳選したお魚を、アメさんのために買って帰るのだ。