ダイス
「新たに起きた《ダイス殺人事件》が過去の《ダイス殺人事件》の模倣だとすると、犯人は二人もいるということになる」
深水は長い指を二本立てて言った。
蓮はあ……と、口を開ける。
そうなのだ。
となると、犯人を捕まえると決めた以上、この二つの事件を別物として見なくてはならないのだ。
同一犯であるなら、勿論犯人は一人だし、事件も一つのものとして見れる。
だが模倣となれば犯人は二人いる。
今回の事件はこれから捜査が進むので、運よく事が運べば犯人を検挙することも出来るかもしれない。
だが、過去の事件はどうだろう。
当時、かなりの捜査員を投入し、大規模な捜査本部を立ち上げてまで挑んだにも関わらず未解決事件となってしまっている。
それが今更解決出来るとは到底思えなかった。
部屋の中には重い空気が流れている。
そんなに簡単にはいかないか。
紗江子は溜め息を吐きながらそう思った。
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