ダイス



以前、従姉が同じような目に遭って警察に行ったが何もしてくれなかった、という話を聞いていたからだろう。


なので、警察には行かなかったし、友人などに話して自意識過剰だと思われるのも嫌だった。


それは小学生の時に、クラスの男子の一人が自分を見てることが多いと発言した時に「それは自意識過剰だ」と言われたのだ。


今になって思えばただのやっかみだったのだが、幼い自分はそれを信じた。


それらのことが重なって、紗江子はそのことを誰にも相談せずにいた。


すると、相手は更にエスカレートし、アルバイト先のコンビニに顔を出すようになった。


勿論最初から、彼が自分をつけている男だと分かったわけではない。


ある夜、アルバイトを終えて店を出ようとすると、建物の陰に隠れてその男が立っていたのだ。


彼が店を出たのは一時間も前で、何をしているのだろうと思いながらも、店を出た。


すると、背後に足音が響いた。


それでそいつがいつも自分をつけている男だと気付いたのだ。



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