ダイス



――随分と薄情なんだな。



何も言わない、親友の死にも嘆かない紗江子に誠はそう言い放った。


誰の言葉か一瞬分からなかった。


真由子の遺体と、彼女の両親は病院にいるということで、そこにいたのは若い刑事と誠と自分だけ。


若い刑事がそんなことを言うはずはないので、直ぐにそれが誠の口から出たものだということに気付いた。



誰がどの口で言うの?



そこで初めて、自分が一番感じているのは恋人と親友に裏切られていたという怒りだというを知った。


やはり自分は薄情なのかもしれない。







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