ダイス



中からは血生臭い臭いがした。


何とも言えない臭いが鼻腔に届き、背広の袖で鼻を抑えた。


警官から借りた拳銃を構えながら、地下にある店内を探る。


電気は点いているが、受付の辺りに人はいない。


さして広くない店内に個室が犇めいている。


深水はそれを一部屋一部屋確認していった。


女の子達は出勤していないのか、それとも逃げたのかどの部屋も空だった。


そして、事務所とおぼしき場所へと辿り着いた。


縦長のテナントの一番奥にそれはあった。


そこの扉は少しだけ開いていて、そこから臭いが漏れてきているのだと直ぐに分かった。


これだけの臭いがするということは、大量の出血があるうえに、かなりの時間が経っているということになる。


だとすると、被害者は既に息絶えているだろう。



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