ダイス



こんな現場に乗り込むことは初めてだった。


強制突入した経験なんてない。


警察学校での訓練くらいなものだ。


銃を構えて扉を蹴り飛ばすべきか、それとも声を掛けてから静かに入るべきか。


頭の中には様々な考えが浮かんでは消えていた。


落ち着け、冷静に考えるんだ。


その時の深水は人生のなかで一番冷静さ欠いていたかもしれない。


だが、数度深呼吸を繰り返すと、漸く冷静さ取り戻した。


通報してきたのは間違いなく本人だろう。


なら、そいつには逮捕される覚悟があるということ。


それなら、突然襲い掛かってきたりはしないはずだ。


深水はそこまで考え、大きく息を吸い込んだ。




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